平成27年 第8回 沖縄県議会(定例会)第2号12月3日
答弁者 : 島田農林水産部長
4、農林水産業の振興について。
台風常襲地である本県において、1966年の宮古島台風以来ほぼ半世紀ぶりの超大型台風に見舞われた与那国島では、最大風速81.1メートルを観測し、甚大な被害に見舞われました。台風13号及び15号による離島地域への被害がおさまらない中で、相次いで来襲した台風に今さらながら自然の猛威を感じざるを得ないのであります。
今回の与那国島の被害は、これまでのような農作物中心の被害にとどまらず、住宅が全壊10戸、半壊が27戸、一部損壊が285戸、停電や携帯電話の不通、インターネットがつながらず交通手段も遮断され情報が入らず、住民生活は完全に麻痺した状態に陥ったようであります。まさに島全体が住民の生活基盤そのものが破壊されたようなものであります。 県においても災害救助法の適用を決め、仮設住宅の設置、住宅の応急措置など、支援対策を進めているようであります。
本県は、台風常襲地で毎年台風の被害に悩まされております。地球温暖化の影響で今世紀後半には、最大風速80メートルに達するスーパー台風が発生すると言われ、本県が最もその危険に見舞われるおそれがあるのではないかと懸念するものであります。県においては、このような事態にいかに対処するか対応を急ぐ必要があります。
さらにTPP交渉が大筋合意したことで本県農水産業への影響が懸念されます。政府は農業重要5項目について聖域と位置づけ、完全撤廃の例外を確保したとしておりますが、5項目の品目のうち約3割については、影響が出ると言われております。本県関係の影響について、的確な把握が必要であります。同時に本県農畜産業を守るための対策について、政府の対策と連動した県としての取り組みが求められます。
(3)、TPP交渉が大筋合意されたが、本県サトウキビなど農畜産への影響と本県農業を守るための政府と連携した取り組みについて伺いたい。
答 弁
同じく農林水産業の振興についての中で、TPPの影響と政府と連携した取り組みについてお答えいたします。
TPP交渉の大筋合意で示された関税の即時撤廃や段階的な削減、輸入枠の拡大等が実施された場合、本県農畜産業において、長期的にさまざまな影響が懸念されます。現時点で想定される主な品目における影響として、1、畜産については、肥育素牛である子牛の輸入増加に伴う、県内子牛取引価格の低下及び安価な牛肉・豚肉の輸入増加による県産食肉価格の下落等が想定されます。サトウキビについては、糖価調整制度が維持されるため、サトウキビ生産に特段の影響は見込みがたいものの、安価な加糖調製品の輸入増加に伴う制度の安定運用への支障が想定されます。そのため県では、生産農家等の不安を払拭するとともに、本県農林水産業等に影響が生じることのないよう、去る11月26日にJA等関係団体と連携し、国に対し、TPP協定が農林水産業に及ぼす具体的な影響について明らかにするとともに、生産農家等に対する十分な説明を行うことなどについて要請してまいりました。去る11月25日には、国において総合的なTPP関連政策大綱が決定されたことから、今後とも国の動向を注視しながら、関係団体と連携の上時期を逸しないよう、適切に対応してまいります。
平成26年 第2回沖縄県議会(定例会) 第2号2月26日
平成26年2月 定例会
答弁者 : 山城農林水産部長
4、TPP(環太平洋経済連携協定)について。
TPP(環太平洋経済連携協定)交渉は、当初、昨年内の妥結に向けた着地点が見つけられず、聖域と位置づけている農業の重要5項目の中で譲歩案の検討も必要になると言われております。TPP(環太平洋経済連携協定)交渉については、本県を含む多くの府県での国内農業への影響回避、情報の開示を求める意見書、決議が採択されております。
安価な農産物が大量に入ってくれば、県内農業に壊滅的な打撃を与え、加工食品や観光産業も深刻な影響が出るのは明白であります。
政府は交渉の段階で、国益が守れないと判断すれば交渉から撤退すると説明しておりますが、日本が最後まで国益を守り続けることはできるのか心配されるところであります。農業問題は国家百年の計と言われ、国家・国民の盛衰を左右する問題でありながら、これまでTPP交渉の参加問題については、国民は中身が十分知らされていないのであります。交渉する以上、国民・県民が納得するような妥結を目指すべきであり、サトウキビなど県内農業の壊滅につながるような譲歩は決して行うべきではなく、我が国農水産業、国民生活を守り国益を害することがないよう求めるものであります。
そこで伺います。
(1)、政府は、交渉力を駆使し守るべきものは守り、攻めるべきものは攻め、国益にかなう最善の道を追求するとしていたが、重要5品目の中で譲歩案の検討を始めたとの報道がある。その内容について県は情報を受けているか、県内農業への影響はないか伺いたい。
(2)、県は、TPP交渉への対応を協議する県TPP対策本部を設置したが、現在までの協議状況と情報収集活動の展開方策、県民への情報提供について伺いたい。
答 弁 農林水産部長(山城 毅)
次に、TPP(環太平洋経済連携協定)についての中の、TPP交渉による影響と県の対応についてお答えいたします。
TPP交渉については、今月22日から25日まで、シンガポールにおいてTPP閣僚会合が開催されましたが、農産物の関税分野において合意に至っていない状況にあります。しかしながら、今後の交渉についても、農産物の自由化を強く求められることが予想されることから、依然として予断を許さない状況にあると認識しております。重要5品目の関税の検討について、政府は内容を明らかにしておりませんが、仮に本県の重要品目であるサトウキビや肉用牛などの関税が譲歩された場合、本県農林水産業へ極めて大きな影響があるものと懸念しております。県としましては、今後ともTPP交渉の動向や国の対応を踏まえながら、時期を逸しないよう、必要な対策について適切に対応してまいります。
答 弁 企画部長(謝花喜一郎)
TPPについての御質問の中の、県TPP対策本部の協議状況等についての御質問にお答えいたします。
県においては、TPPに関して時期を失しない対応を行うため、昨年7月に知事を本部長とするTPP対策本部を設置し、21の交渉分野ごとに担当部局を割り振り、県内への影響把握に努め、庁内での情報共有を図っているところであります。去る1月に実施した関係団体等へのヒアリングにおいては、県内への影響を懸念する意見として、農畜産物や水産物の関税の撤廃・引き下げ、食品の安全基準の緩和などがあり、また、詳細な交渉内容等が政府から明らかにされていないため、影響等についての判断ができないなどの回答があったところであります。今月22日から昨日までシンガポールで行われていたTPP閣僚会合においては、大筋合意に向けた議論が行われてきましたが、報道によると、国有企業に関する議論で一定の歩み寄りはあったものの、関税や環境の分野においては主張の隔たりがかなりあり、大筋合意は見送られております。
県としては、引き続き政府に対し、交渉内容等に関する十分な情報提供を求めていくとともに、議論の状況を注視し、適切に対応してまいります。